交通事故の訴訟の管轄裁判所は、被害者、加害者、運行供用者などの住所や居所の裁判所、あるいは、事故発生地の管轄裁判所であることが一般的です。
しかし、その場合、遠方の地方裁判所に訴えを提起することになり、交通費や時間等で非常に不便となることにもなりかねません。
そこで、裏技というほどでもないのですが、管轄を東京地方裁判所にすることができる場合があります。
そのためには、加害者が任意保険に入っていることが必要です。無保険の加害者にはこの手段は講じられません。
加害者が何らかの任意保険に入っているのであれば、多くの損保会社は本店を東京にしています(あるいは、東京以外の大阪や名古屋等の大都市)。
そこで、加害者と共に任意保険会社を訴えることにより、併合管轄(民事訴訟法7条)として、東京地方裁判所に訴えを提起するのです。こうすれば、加害者が遠方の地方に在住であろうとも、事故発生地が遠方の地方であろうとも、東京地方裁判所に訴えを提起できます。
もっとも、移送される可能性もありますので(民事訴訟法17条)、リスクはありますが、当事務所では移送されたことはありません。